皆様こんにちは!JSCA(ジャスカ)埼玉代表の矢沢秀周と申します。5期10年に渡り代表を務められた、尾田前代表から、2017年度に代表を引継ぎ いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

昨今、私たちを取り巻く環境の変化のスピードは大変速く、建物の安全安心を担う私たち建築構造設計技術者もその変化、要求に対応することが求められ、我々のJSCA埼玉も、日々お互いに研鑽して技術向上には余念がありません。
しかしながら、単に社会の要求に応じるだけで良いのでしょうか。法律に則った構造設計をするだけで良いのでしょうか。社会基盤の一角を支える私たち構造設計技術者は、よりよき社会形成を目指すために、今こそ、社会に対して要求することも必要なのではないでしょうか。そのことについて、人口減に伴う人手不足や、経済縮小を言い訳にして、何もしない選択をすることは、次世代に対して許されることではなく、いわば我々に課せられた大きな使命であると言えます。我々は、単にレシピに沿った構造設計をして業務完了という事では無く、提案し、真の社会の要求を創出し、それに応えて行きたいと思います。

そのために、私は3つの活動方針を掲げます。

【1】説明責任を果たす。
【2】構造技術の次世代への継承を行う。
【3】構造設計から、持続可能な社会の実現に寄与する。

1番目。まずは説明責任をきちんと果たす所から、社会への提案が可能になると考えます。一方的に提案しても、単純に受け入れてもらえるものでしょうか。まずは、構造設計技術者も、もっと表に立ち、説明する事から始めませんか。

2番目。日本中世界中の問題かもしれませんが、人口減少による、人手不足の問題があります。人手不足はAIで解決できるのでしょうか。AIが技術の継承をしてくれるのでしょうか。衣食住の一角である建築は、社会基盤を形成しています。しかしながら、未だに大地震で災害が発生します。社会のために、人類の英知で、まだまだ構造技術の発展が必要なのに、今後はコンピューターが建物を設計するのでしょうか。さらにそれが発展の道を辿ってくれるのでしょうか。私は、構造技術の次世代への永続的な継承無くして、未来は無いと考えます。

3番目。西暦4000年くらいの事を考えなくて良いのでしょうか。これは私が突飛な事を言っているのではなく、尊敬する構造の先生がおっしゃっている言葉です。もはや10年先の予測も難しい不透明な時代です。100年先の事は誰にも分かりませんし、誰も考えていないのかも知れません。
一方100年前というと近代建物が建ち始めた頃です。産業革命以降、特に、このわずか100年間での人類の活動が、環境に多大なる影響を及ぼしており、はたして、これからの100年を乗り切れるのか、皆が不安です。でも、100年後、自分はいないから、いいや。それでよいのですか。寿命が伸びている今日、私たちの子供は、100年度の世界を見るでしょう。私たちには、次世代に対する責任があります。
では、西暦4000年は?地球が誕生してから46億年、最古の人類が現れてから600万年、ホモサピエンスが現れてから20万年の時間が経過しています。それに比べれば、2000年後なんて一瞬です。持続可能な社会は、誰が考えてくれるのでしょうか。100年後の私たちの子供達が考えるのでしょうか。そのとき手遅れになっていないでしょうか。私たちが今考えなければならないのではないでしょうか。建築構造を通して、持続可能な社会のどこかを支える私たちでありたいと思います。